2013年12月31日

ジャンクション・シティ

 それは突然のメールだった。

 お店の方からだ。

 もう数日後には閉店するという。こちらにとっては、あまりに突然。
 実際には、年末まで営業しているということだったが、とるものもとりあえず時間を創り、この22日に珈琲を飲みに行った。
 しゃっちこばった御礼は、得意ではない。
 もうどうしても、珈琲を飲んでおきたかった。

 ジャンクション・シティ。
 洒落た名前の、カフェである。
 初めてその半地下の場所に向かう階段を見たときは、ちょっとびっくりした。そのようなところに、今まで行ったことはなかったからだ。店内の意外な広さと落ち着き感が印象に残っている。
 2010年末、仏教心理学の講座を機縁として親しく交流することになった脚本家氏に、このお店を盛り上げたいという話を聴いた。妖怪cafeは、そこからスタートした。仏教なのに、妖怪の話ばかり。始めは訝っていた氏も井上円了の話を通して、徐々に興味を持ち始めたようだった。

 きっと勉強会や講座形式の場所貸しとしては、破格の条件。
 最初は、誰もこないだろうと思っていたが、あの震災を境に、人の足が繁くなり、7〜8名という具合に、続いてきた。
 いろいろな話をした。
 ここから広がる、ご縁もあった。
 最初は毎月、最近は隔月。
 たしかに震災で、なにか異界の蓋が開いたのだ。
 そのことは、報道レベルではともすると風化しかねない昨今の状況においてさえ、思うことだ。
 
 人は、己のひたと向かいあえないものを、禍々しく思い、排除しようとする。しかし禍々しいと思われるそれは、隠されつつ現れる生の事態なのであり、人の他ならぬおいたった根源を指し示す。妖怪が、単に面白おかしいキャラだと思ったら、おおまちがいだ。それは、世界と人間の奥処に通じている。
 そういう想いを、参加者と共有したいと思った。

 ジャンクション・シティのある中野という場所を少し歩くようになって、感じたことがある。この土地には、細かい襞がある。決して派手とはいえないその装いは、折り畳まれたその陰と光のきらめきからやってくる。妖怪にふさわしい、土地ではないか。中野、という土地にまだ縁があるのか、ないのか。

 ジャンクション・シティの閉店にともない、これから新生「妖怪cafe」の場所も探したいと思う。継続希望の声も、大きいと思われるからだ。

 ただ、新たな場所では、これまでよりも一人ひとりの関心に寄り添う形を、とりたいと思う。
 各人が、各人として妖怪に触れ、もちろん私もより多く学んで行くために。

 ありがとう。ジャンクションシティ。

 一杯の珈琲は、とても愛しい。

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posted by 甲田烈 at 06:06| Comment(0) | 妖怪学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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