2012年05月18日

AYANAVI〜日本の「妖」(あやかし)ナビゲーターたち・第5回のお知らせ

 季節はもう初夏ですが、暑かったり寒かったりする天候不順が続いています。
 今日は、南方熊楠(1867-1941)の誕生日です。みなさんは、いかがお過ごしですか。
 最近、井上円了(1858-1919)の「妖怪学」を継承・発展させるという意図のもと、昨年から滞っていた著作の執筆を始めています。本講座でも2回にわけて取り上げましたが、円了は「心」と「物」の相関として現象世界を捉え、「妖怪」という不思議にせまっていきました。
 興味深いことに、この円了の考え方と熊楠のアプローチはとてもよく似ています。熊楠もまた、事=現象を物と心が「縁」という諸条件によって交錯する領域と捉えて、この世界の「理」という不思議にせまるという、南方マンダラの思想を持っていました。その「妖怪」論には、必ず伝承の世界(心)だけではなく、環境条件や動植物の生態(物)が登場し、実証性が重視されています。
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 今回は、そんな熊楠の思想を「神社合祀反対」と「粘菌」という二つの視点から取り上げます。
 
 明治39(1906)年、神社合祀令が発令されます。これは、一村一社を原則として、その他の小祠や神社は取り壊し、他の神社に合併するという、明治政府の政策でした。これを契機に、社祠の取り壊しによって全国で森林と自然環境の破壊が進みます。熊楠が、この神社合祀に反対する意見をマスコミに表明したのはその3年後の明治42(1909)年、その翌年には推進派の集会で乱闘を起こし、拘留されたり、一時は海外の研究者に呼びかけ、国際的な運動を起こそうとまでしています。そして、明治45年(1912)には、「神社合祀反対意見」として、8つの項目にわたってその理由を展開していますが、その中に、次のような一節があります。

   小生思うに、わが国特有の天然風景はわが国の曼陀羅ならん。先にも言えるごとく、至道は言語筆舌の必  ず説き勧め喩(さと)し解せしめ得べきにあらず。

 神社の木々が乱伐されることは、単にそこにある樹木がなくなることではなくて、その木々をめぐる自然生態系や、神社を結節点とするコミュニティが破壊されることでもあります。そのことは、文字記録に残されなくても人々の暮らしに息づいていた伝説・民話の消滅も意味しています。熊楠の反対運動は、最初はなんと「菌類」の保護。けれどもそれは、やがて今日のエコロジーに止まらない、コスモロジーへの問いにまで発展していったのです。

 そこに貫かれていたのは、熊楠の「小さなもの」や「微小なもの」へのまなざしです。昭和4年(1929)年、昭和天皇の紀伊行幸に際して、熊楠は粘菌標本110種をキャラメル箱におさめて進献しています。
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 アニメ・マンガの『風の谷のナウシカ』でもよく知られる「粘菌」。
 「粘菌」は変形菌とも呼ばれ、アメーバ運動をして栄養物を摂取する「変形体」という状態と、まったく動かない茸のような「子実体」というふつの状態をとるために、動物と植物の中間である「原始生物」と考えられてきました。熊楠がこの「粘菌」に着目した理由は、なんと「生死の現象と霊魂について」(柳田國男宛書簡)を解く手がかりになると考えたからでした。
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 神社をとりまく森林の「風景」と微小な「粘菌」という世界は、どのような関係にあるのでしょうか。そして、熊楠のいう「至道」とは、なんなのでしょうか。
 日本最初の“エコロジスト”とされる熊楠の足跡をふりかえりながら、そのユニークな「霊魂」論や「妖怪」論とのつながりを考えてみたいと思います。

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 ★タイトル「「天然風景は我が国の曼陀羅ならん」〜「フシギ」のフィールドワーカー・南方熊楠(2)
 ★開催日時 5月25日(金) 20:00〜21:30

 ★講師 甲田烈(現・相模女子大学非常勤講師:最終学歴 東洋大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学(専攻・仏教学)

 
 ★場所 ジャンクションシティ(http://www.junctioncitytokyo.com/Photo_%26_Cafe_%22Junction_City%22/Home.html)
 Access/ 西武新宿線 新井薬師前駅 南口から徒歩2分 
 Address/ 〒164-0002 東京都中野区上高田3-37-7 サクラディア B1F
 e-mail/ jctアットマークjunctioncitytokyo.com(“アットマーク”を“@”に書き換えてください)

 ★各回参加費 1000円+1order


 

   

 
posted by 甲田烈 at 22:24| Comment(0) | 妖怪学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月22日

ユング心理学研究会スピンオフ企画・春の物思い〜哲学堂周遊〜によせて

 先日、泉鏡花について発表させていただいたユング心理学研究会(http://jung2012.jimdo.com/)。そのスピンオフ企画として、週末の4/29(日)に、中野の哲学堂公園(http://www.tetsugakudo.jp/top.htm)を散策する企画が立ち上がりました。
 哲学堂公園は、日本の妖ナビゲーターたちでもご紹介した哲学者・妖怪学者の井上円了の創建になるものです。
 円了はこの場所を、「精神修養の道場」と位置づけました。
 それもそのはず、園内には有名な「妖怪門」を始め、哲学の概念に由来する奇妙な建築物やアイテムに満たされています。歩いていると、だんだんと不思議な気持ちに......
 それが円了の目的。歩きながら、身体で哲学を学んでいくことが、目的なのですから。 
 一見は憩いの公園、しかし、その実体は。。
 軽妙な魅力と緻密な仕掛けの織りなす小宇宙を、体感してみませんか?
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ユング心理学研究会スピンオフ企画
哲学的ふぃーるどわーく散策「春の物思い」――哲学堂周遊―― 

哲学者・妖怪学者井上円了(1858〜1919)の創建になる哲学堂公園。
不思議な建築物やアイテムにかこまれたその空間には、隠れた秘密がたくさんあります。
普段は中をみる事ができない、中野区有形文化財に指定されている古建築物(四聖堂、六賢台、宇宙館、絶対城、無尽蔵)が、GW中に公開されます。
これらの古建築物の内部が観覧できることを期に、哲学の道を歩いてみませんか?

◆日時
2012年4月29日(日)【哲学堂周遊】14-17時 【二次会】17時半-適当
◆アクセス
所在地〒165-0024 東京都中野区松が丘1-34-28 TEL/03-3951-2515
交 通・西武新宿線「新井薬師前駅」から徒歩12分
◆タイムスケージュールその他
 ※雨天決行。雨天15時開始。当日9時に電話もしくはメールにて連絡。
【哲学堂周遊】定員20名(若干超えてもOK) 参加費 無料(飲物付)
14:00     西武新宿線 新井薬師前駅 南口改札 集合
14:20〜15:15 古建築物中心に哲学堂散策。
15:15〜16:15 「時空岡」集合。
 哲学堂の構造と設計思想について簡単に説明します。(含休憩)
16:15〜17:00 哲学堂公園再散策。
17:00 解散(二次会参加希望者は移動)

【二次会】  定員15名 参加費3000円(ビールは別料金・焼酎・ソフトドリンク飲み放題)
※定員以内なら、二次会のみ参加も歓迎! 
◆会場
ビストロ風居酒屋 でくのぼう
◆アクセス
所在地〒165-0002東京都中野区上高田5-43-3 グリーンビル1F
TEL/03-3228-0139
交 通・西武新宿線「新井薬師前駅」北口から徒歩2分

《お申込みについて》

●下記の注意事項をお読みの上、このメールアドレス宛に、4/27までにご連絡ください。
 retsuアットマークyg7.so-net.ne.jp
("アットマーク"は"@"に書き換えてください)

●雨天決行時のご連絡がありますので、
電話番号、メールアドレス、お間違えのないよう
ご記載下さい。お友達をお誘いいただいてかまいませんが、
人数の把握上、お友達分までのお申込みもよろしくお願いします。

《お申込み情報》
□ 哲学堂周遊に参加します。
□ 二次会に参加します。

お名前(ふりがな)  :
当日連絡のつく電話番号:
    メールアドレス:

散策ナビゲーター 甲田烈
二次会担当 原田佳夏

哲学堂公園
http://www.tetsugakudo.jp/a03.htm
posted by 甲田烈 at 23:16| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

AYANAVI〜日本の「妖」(あやかし)ナビゲーターたち・第4回のお知らせ

 最近、イベントづいていてお知らせの更新が遅れてしまいました。
 春だというのに、寒い日が続きますね。皆さんは、いかがおすごしでしょうか。

 4月上旬に、福島県のいわきに行ってきました。単なる気晴らしの旅行のはずが、民俗資料も調べることに。「妖怪」たちが、遊びに誘ってくれるみたいです(笑)
 驚いたのは、いわきも民俗伝承が多く、やはり他の地方と共通するものも見られることです。
 
 たとえば、「一つ目小僧」。勤務校の近くの相模原地区では、一つ目小僧は、目籠をみつけると、驚いて逃げていくみたいです。自分より、「目」が多い存在は、怖いわけですね。これは、いわきでも、まったく一緒でした。
 「邪視」を避ける習慣は、世界各地に残されています。
 たとえば、節分で豆まきをするのも、豆を数えているうちに、鬼たちが邪視の力を失うためだと言われています。また、子どもに鬼を避けるための「名」を与える例もあります。インドのパンジャブ地方では、生まれたばかりの子どもの美しさを見た小さい神さまが、その子をねたみ殺すといわれていました。だから、その難を避けるために、生まれた子どもにマル(悪)とか、クリア(掃除人)とか、わざと汚らわしい名前をつけます。また日本でも、古くは下野屎子とか、森蘭丸のように「屎」とか「丸」とか、汚い名前がつけられている例があります。これもまた、邪鬼を退けるためです。

 実は、このような「邪視」についての詳しい考察を、南方熊楠(1867-1941)は残しています。
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 妖怪研究の長い歴史の中で、なぜか熊楠の仕事は、ほとんど取り上げられていません。それは熊楠が、何よりも博物学者であるとか、粘菌の研究をした菌類学者であるというイメージで見られていたことにも起因しています。けれども、たとえば、熊楠は「ひだる神」に取り憑かれ、那智隠棲時代には自分の首が抜けて山中を飛び回るヴィジョンを見、「幽霊」と「幻覚」の違いについて克明に考察したりしています。意外と、「妖怪」とともに生きているのです。
 日本の妖(あやかし)ナビゲーターたちの第4回は、そんな熊楠の側面を、彼の思想とともに探っていこうと思います。

 熊楠は、イギリスで近代自然科学を学び、明晰かつ合理的な視点を身につけていました。単に伝説や昔話を、人間の「心」の産物としてではなく、客観的存在としての「物」と交差する「事」=現象を基点として、考察しています。これは、本講座の第1〜2回に取り上げた井上円了と近い、科学的実証も重視した視点です。そして熊楠は、そんな自らの学問の秘訣を、2枚の図形で示しています。
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 後世、「南方曼荼羅」と呼ばれるこれらの図形は、本当は何を意味しているのでしょうか?
 
 また、南方熊楠の論文として一般に読みやすいものとして『十二支考』がありますが、その中にはなんと、「龍」の起源について、も生物学まで踏み込んだ考察がなされています。謎の海獣「ムカデクジラ」と「龍」の意外な関係とは?
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 熊楠ワールドを経巡りながら、その「妖怪」論の内容について、みなさまと考えていきたいと思います。

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 ★タイトル「「余の首抜けいでて那智山中を飛ぶ」〜「フシギ」のフィールドワーカー・南方熊楠(1)
 ★開催日時 4月27日(金) 20:00〜21:30

 ★講師 甲田烈(現・相模女子大学非常勤講師:最終学歴 東洋大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学(専攻・仏教学)

 
 ★場所 ジャンクションシティ(http://www.junctioncitytokyo.com/Photo_%26_Cafe_%22Junction_City%22/Home.html)
 Access/ 西武新宿線 新井薬師前駅 南口から徒歩2分 
 Address/ 〒164-0002 東京都中野区上高田3-37-7 サクラディア B1F
 e-mail/ jctアットマークjunctioncitytokyo.com(“アットマーク”を“@”に書き換えてください)

 ★各回参加費 1000円+1order
posted by 甲田烈 at 22:30| Comment(0) | 妖怪学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする